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2004年5月/6月分 最新版はここ, 索引はここ

週に一度くらいのペースで,私が見聞した情報をここに書いていきます.月曜か火曜に更新予定.最近は2週に一度くらいのペース.
2004/06/28
2004/06/14
2004/06/01
2004/05/25
2004/05/10
2004/05/02
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2004/04/05
2004/03/22
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2004/03/02
2004/02/22
2004/02/09
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2003/12/16
2003/12/09
2003/11/29
2003/11/22
2003/11/15
2003/11/08
2003/11/02
2003/10/24
2003/10/17
2003/10/10
2003/10/03
2003/9/26
2003/9/19
2003/9/12
2003/9/05
2003/8/29
2003/8/22
 
 



日本の本屋 Amazon.co.jpアソシエイト    , or 米国の本屋 In Association with Amazon.com

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2004/06/28
  • 今週のサイエンス情報

    • 【生命倫理】ヒトクローン胚:難病研究などに限り容認
      人間の受精卵(ヒト胚(はい))やヒトクローン胚を使う研究のあり方を検討していた政府の 総合科学技術会議生命倫理専門調査会は23日,ヒトクローン胚作りを難病などの基礎研究に限って認めることを最終報告書に盛り込む方針を決めた.ただし,「クローン人間が生み出されることの事前防止」などの枠組みが整備されるまでは研究を解禁しない(モラトリアム)とした.委員の間には容認に反対する意見もあったが,会長の裁量で採決を強行した. 6/23 毎日新聞 総合科学技術会議 生命倫理専門調査会, 第34回(2004/6/8) 「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方について」
    • 【宇宙開発】民間初の宇宙飛行成功,高度100Km・無重力状態3分の有人飛行
      米Scaled Compositesは,これまで同社が独自に開発を進めてきた「SpaceShipOne 」(重さ約3トン,3人乗り)により,初の宇宙飛行を実施,有人飛行で,高度100Kmに達し,無事に帰還した.無重力状態が3分余あったという. スケールド社は,有人飛行を達成したチームに賞金1000万ドル(約11億円)が贈られる米民間団体主催の「ANSARI X Prize (アンサリX賞)」に名乗りを上げている.合格基準は,2週間以内に2回,3人を乗せて高度100キロを飛行し,無事帰還すること.欧米など7カ国から20以上のチームが登録し競い合っており,今回の成功は「高度100キロ以上」の条件を初めてクリアしたことになる. (6/3 PCWebNews6/22 朝日新聞 6/20 CBS6/21 CNNNY-Times
    • 【顕彰】ブループラネット賞,受賞者発表
      旭硝子財団は,ブループラネット賞の受賞者を23日発表した.地球環境問題に科学技術分野で貢献した個人などに贈られており,今年で13回目.副賞賞金は5,000万円. 今年度はグロ・ハルレム・ブルントラント元ノルウェー首相(65)とスーザン・ソロモン米国海洋大気庁上席研究員(48)の女性2博士.医師でもあるブルントラント元首相は,国連の「環境と開発に関する世界委員会」の委員長として87年に環境保全と経済成長の両立を目指す「持続可能な開発」という新しい考え方を発表.これがきっかけとなり92年にリオデジャネイロで地球サミットが開かれた.ソロモン氏は80年代半ば,南極上空でオゾンホールができるメカニズムを解明,フロン全廃の方針を打ち出した90年のモントリオール議定書改定に道筋をつけた. 6/23 朝日新聞
    • 【顕彰】江崎玲於奈賞,受賞者発表
      茨城県科学技術振興財団は,新設された江崎玲於奈賞の第1回受賞者を 21日発表した. ナノサイエンスやナノテクノロジーに関する研究に携わり,世界的評価を受けた国内の研究者が対象.榊裕之・東京大学生産技術研究所教授(59)と,荒川泰彦・東京大学先端科学技術研究センター教授(51)の2人が選ばれた. 受賞対象の研究テーマは,「半導体ナノエレクトロニクス素子の先駆的研究,特に,量子細線・量子ドット構造素子研究における先駆的貢献」.副賞賞金は1,000万円. 6/21 読売新聞

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 経済産業省,知的財産戦略指標の策定に向けた中間報告
      経済産業省は,7日,「 知的財産戦略指標の策定に向けた中間整理」を公表した. 知的財産を核とした産業競争力の観点から,国や企業の知的財産関連のパフォーマンスを測定・評価するための知的財産戦略指標についての検討を実施した中間報告.
    • 【日本の原子力政策】国際原子力機関(IAEA)による『結論』
      オーストリア・ウィーンで開催されている国際原子力機関(IAEA, International Atomic Energy Agency)の理事会において,日本では申告された核物質の転用が認められず,未申告の核物質と原子力活動も認められないことから,保有する全ての核物質が保障措置下にあり平和利用されているとの『結論』が得られた,と 報告された.日本の原子力が平和利用に徹していることが公式に認められた.6/14 河村文部科学大臣談話
    • 【日本のITER誘致】負担金を570億円上積み
      日本とフランスが誘致を競い,建設地決定が難航している国際熱核融合実験炉(ITER)計画で,政府は16日,青森県六ケ所村への建設実現に向け,誘致成功時の負担金を約570億円積み増す方針を固め, 18日にウィーンで開かれる参加6カ国・地域の次官級会合で提案した. 日本は既に,ITER建設費約5700億円の負担割合を48%から50%に引き上げる方針を決めており,これと合わせ,負担増は建設費の10%に相当する. しかし,フランスも同様な提案をしたため,18日の会合では結論に至らなかった. 6/16 京都新聞
    • 首都大学東京,新大学院は6研究科で構成
      東京都は14日,都立4大学を統合して開校する「首都大学東京」の大学院の構成を発表した. 構成は▽都市基盤や環境工学などの「都市環境科学研究科」▽情報通信システム工学などの「システムデザイン研究科」▽保健分野を統合した「人間健康科学研究科」▽人文系の「人間・社会・文化科学研究科」▽法科大学院などを含む「法律・政治・経営研究科」▽物理や基礎工学などの「理工学研究科」. 新大学院は,大学の学部より1年遅れの2006年春に誕生する. 6/15 日本経済新聞
    • アカデミック・ハラスメント  114大学のうち28大学で「あった」回答
      NPO アカデミック・ハラスメントをなくすネットワークによる調査で, 大学教授らが地位を利用して助手や大学院生らに嫌がらせをする「アカデミック・ハラスメント」の実態が報告された. 無作為に選んだ国公私大学,教員(助教授・講師・助手)にアンケート用紙を送り,114大学と931人から回答を得た.回答数の約4分の1に相当する28大学が,この数年にアカハラがあったことを認めた.件数では計124件. これとは別に,性的な嫌がらせ(セクハラ)についても調べたところ,ほぼ半数にあたる55大学が,2000年以降の約2年半の間に「相談があった」と答えた.計352件あった. 6/19 朝日新聞

  • 今週の「持続可能な開発」

     今年度のブループラネット賞受賞者の1人に元ノルウェー首相グロハルレム・ブルントラント氏(Gro Harlem Brundland,1974年から5年間環境大臣,1981年にノルウェー初の女性首相に就任)が選ばれた.環境保全と経済成長の両立を目指す画期的な概念,「持続可能な開発(sustainable development)」を提唱し世界へ広めた功績が評価された.国際的にも活躍し,国連環境開発特別委員会の委員長として,「持続可能な開発」をテーマに掲げ,貧困問題の解消や社会正義の実現を提言し,地球サミット開催の原動力となった.昨年まで世界保健機関(WHO)事務局長を務め,タバコ喫煙抑制枠組み条約採択に尽力.また,環境変化に起因すると推定されるSARSやHIV 等,地球規模の疾病に対処する大胆なモデルを策定した. ( ノルウェー大使館のページ
     「持続可能な開発」という概念は1987年の環境と開発に関する世界委員会(いわゆるブルントラント委員会)報告書で採用されたことがきっかけで国際的な環境規範として定着した(ブルントラント以前にもこの概念自体は存在していた).報告書はUN-report "Our Common Future" 1987,邦訳では『地球の未来を守るために』という題名で出ている.

    『地球の未来を守るために』 環境と開発に関する世界委員会著 大来佐武郎監修, 福武書店,1987年,ISBN 4828811672,2625円(現在在庫切れ)
    概要のみインターネット上で入手できる. ( 環境庁のページよりpdfファイル) なお,原書と邦訳はニュアンスが違うとの指摘もある. 原書は
    Bruntland, G (ed) (1987). Our Common Future: The World Commission on Environment and Development, Oxford: Oxford University Press.,ISBN: 019282080X,ペーパーバック版 $17
    参考文献としては,
    • 『サステイナブル・ディベロップメント:成長・競争から環境・共存へ』 林智,本谷勲,西村忠行,西川栄一, 法律文化社 1991年,ISBN: 4589016192,2415円
    • 『ODAと人間の安全保障:環境と開発』 多谷千香子著   有斐閣 2000年,ISBN: 4641027544,2520円
    • その他,「持続可能な開発」という概念が提唱された後,その報告書の題名をもじって,Whose Common Future? Reclaiming the Commons (by The Ecologist Magazine,New Society, 1993, Out-of-print)という批判論文も出されている. http://www.serve.com/ecobooks/comfutur.htm
    本稿の執筆には,
    http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=428
    http://hotwired.goo.ne.jp/ecowire/tetsunari/040210/02.html
    http://www.brundtlandnet.com/background.htm
    を参考にした.

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2004/06/14
  • 今週のサイエンス情報

    • 【素粒子物理】K2K実験で,ニュートリノの質量を確認
      東京大宇宙線研究所や高エネルギー加速器研究機構を中心とする国際共同実験「K2K」チームは,素粒子ニュートリノに質量があることを99.99%の確度で示す実験結果が得られた,と11日,発表した.チームは高エネ研の加速器でミュー型ビームを作り,約250キロ離れた岐阜県飛騨市の地下鉱山にある東大の観測装置スーパーカミオカンデに向け発射した.1999年6月の実験開始から今年2月までに108個のミュー型を検出.ニュートリノに質量がないと仮定した場合に届くはずの約150個に比べ,明らかに少なかった. これはニュートリノに質量があるため途中で別の型に変わる「ニュートリノ振動」が起き,スーパーカミオカンデで検出できない型に変身したと考えられるという. さらに,検出したニュートリノのエネルギー分布にもニュートリノ振動特有の偏りがあった. 6/12 京都新聞
    • 【環境】100年後の関東地方は九州南部並みの暑い夏
      気象庁では,地球温暖化の進行に伴う,関東地方における現在からの詳細な気温変化の 予測を行った結果を7日発表した(発表原稿pdf). それによれば,2100年頃の夏季の晴れて風の弱い日,平均気温は現 在より最大1.5℃程度上昇し,早朝の気温が25℃以上の地域が関東平野のほぼ全域に広 がるという. 地球温暖化と都市化の影響,温室効果ガスの影響により,現在の 九州南部並みになるという. 6/7 京都新聞
    • 【惑星探査】無人探査機,土星へ 打ち上げから7年ぶり
      米航空宇宙局(NASA)は3日,欧州宇宙機関(ESA)などと共同で 1997年に打ち上げた無人土星探査機カッシーニ Cassiniが今月30日, 土星の周回軌道に入ると発表した.過去にNASAの探査機パイオニアとボイジャーが土星を探査しているが,いずれも近くを通過しただけで,周回軌道に入る探査機は Cassiniが初めて. 地球から土星までの飛行距離は約35億キロ. Cassiniは約4年間,土星を周回し続け,輪の組成などを詳しく調べる.今年12月にはESAが製作したミニ探査機ホイヘンス Huygens を切り離し,来年1月に最大の衛星タイタン Titan に降ろし,大気や表面を調査する. (6/4 京都新聞6/3 NASA
    • 【コンテスト】国際物理コンテスト
      世界の高校生が物理学研究の成果を競う,ポーランド科学アカデミー物理学研究所が主催する「ノーベル物理学賞への第一歩」国際物理コンテストで, 元東京都立小石川高生で慶応大理工学部1年の津村加奈さんの入賞が決まった. 同コンテストは今回で12回目で,日本からの入賞は初めて. 今回は28カ国の111人が応募,計6人が入賞した. 津村さんは,日光をほとんど反射する金属が日なたで熱くなる理由を実験と 理論の両面から調べまとめた.6/4 京都新聞
    • 【顕彰】第16回高松宮殿下記念賞 受賞者発表
      財団法人日本美術協会は7日,芸術を対象とした「高松宮殿下記念世界文化賞」の第16回受賞者を発表した.授賞式は10月21日,東京・元赤坂の明治記念館で行われ,受賞者に顕彰メダルと賞金各1500万円が贈られる.
      演劇・映像部門 アッバス・キアロスタミ Abbas Kiarostami
      音楽部門 クシシュトフ・ペンデレツキ Krzysztof Penderecki
      建築部門 オスカー・ニーマイヤー Oscar Niemeyer
      彫刻部門 ブルース・ナウマン Bruce Nauman
      絵画部門 ゲオルグ・バゼリッツ Georg Baselitz

    • 【顕彰】京都賞 受賞者発表
      財団法人稲盛財団は11日,芸術を対象とした「京都賞」の第20回受賞者を発表した.授賞式は11月10日,京都・国際会議場で行われ,受賞者に顕彰メダルと賞金各5000万円が贈られる.
      先端技術部門
      [情報科学]
      Alan Curtis Kay 現代のパーソナルコンピュータの概念の創出と実現への貢献
      基礎科学部門
      [生命科学(分子生物学・細胞生物学・神経生物学)]
      Alfred George Knudson, Jr. ヒト発癌機構における癌抑制遺伝子理論を確立した先駆的業績
      思想・芸術部門
      [哲学]
      Juergen Habermas コミュニケーション行為論,討議倫理学など,社会哲学理論の構築 および公共性に根ざした理想社会実現への実践的活動

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 国立大,半数「数値目標」明記 文部科学省は5月11日,今年4月に法人化された国立大学・短大全89校 が向こう6年間で達成しようとする中期目標の原案と中期計画案を公表した. 昨秋,各大学が提出した素案は抽象的な記述が目立ち,国立大学法人評価委 員会がより具体的な内容への見直しを求めていた.その結果,89校のうち 85校が修正に応じ,数値目標を書き込んだ大学が37校増え,目標の達成 時期を追加した大学も32校に上った. (6/1 大学情報文部科学省・国立大学法人評価委員会)
    • 6月1日に配信された大学情報記事から,題目のみ.
      【注目記事】国立大,半数「数値目標」明記 (上記)
      【大学改革】(1)国際教養大が開学−授業はすべて英語
      【大学改革】(1)「コンソーシアムあきた」発足へ
      【大学改革】(2)山形の大学・短大が6校共同で教員研修
      【大学改革】(3)東北大,新学生寮をPFI方式で
      【大学改革】(4)東京大,新シンボルマークを商標登録
      【大学改革】(5)早稲田大,理工学部を3分割へ (5/25 当サイト既報)
      【大学改革】(6)愛知教育大が「全学会議」を開催
      【大学改革】(7)京都大が学長選考方式を変更−学外からの就任可能に
      【大学改革】(8)山口大が国際協力銀行と協定
      【大学改革】(9)九州大が「心の専門家」養成へ大学院設置
      【トピック】(1)法科大学院,入学者の48.4%が社会人
      【トピック】(2)文科相,「首都大学東京」など15大学・短大の設置認可を諮問 (文部科学省・平成17年度開設予定大学認可申請一覧)
      【トピック】(3)大検,全日制高校在学生にも受験可能に−中教審案 (文部科学省・中央教育審議会教育制度分科会)
      【トピック】(4)初の英語リスニング試験−06年センター試験...リスニングの試験時間は30分 (大学入試センター)
      【トピック】(5)「留学」「就学」の在留資格認定,46%減少
      【トピック】(6)就職状況,大卒・高卒とも内定率改善
      【海外大学事情】(1)エジプト−「最古の大学」発掘.... 地中海沿岸の都市アレクサンドリアで5世紀から7世紀にかけて使われたとみられる,計5000人の学生を収容できる講義室 13室を発見.
      【IT化】(1)19大学・機関,「オンデマンド授業流通フォーラム」を設立へ

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2004/06/01
  • 今週のサイエンス情報

    • 【天文学】誕生後わずか100万年の若い惑星を観測
      米航空宇宙局(NASA)は,赤外線を使うSpitzer宇宙望遠鏡の観測で, 地球から約420光年離れた星の近くに,誕生後100万年前後しかたっていない惑星が存在する可能性が高いと発表した. おうし座の方角にある「CoKu Tau 4」と名付けられた恒星の周囲を円盤状に取り巻くちりやガスを観測したところ,円盤の内側に,はっきりとしたすき間を検出.CoKu Tau 4の周囲を,惑星が回っている可能性が高いことが分かった. CoKu Tau 4は約100万年前にできたと推定されていることから,年齢が100万年以下と 推定された. (5/28 京都新聞5/27 NASA
    • 【物性物理】原子単体を電子顕微鏡で撮影
      普通は塊を作ることの多い原子が単独でいる珍しい姿をとらえた電子顕微鏡写真を中村栄一東京大教授(物理有機化学)や飯島澄男名城大教授らのチームが撮影,米科学アカデミー紀要電子版に25日発表する. 金属の一種,ガドリニウムの原子を入れたメタノールに,炭素原子の膜でできた牛の角のようなカーボンナノホーンを浸し,先端にある直径0.9ナノメートルの穴で捕まえた. チームは,酸素中で420-580度に温度を上げてナノホーンの側面に穴を開け,それをガドリニウムを溶かしたメタノールに浸すことで,内部にガドリニウム原子を約30個入れることにも成功した. (5/25 京都新聞
    • 【生物科学】生物時計の“振り子”特定 24時間周期生むタンパク質
      体内で生体のリズムを生み出している「生物時計」で,24時間の周期を決めているタンパク質の構造を石浦正寛名古屋大教授と加藤博章京都大教授らのグループが,らん藻の細胞を使って解明し,31日付の米国の専門誌に発表した. 生物時計はさまざまな生物で見つかっているが,その周期を決めるメカニズムはよく分かっていない. 原始的な細菌のらん藻の生物時計は3つのタンパク質で,これらの生成量や活性は24時間周期で変化し,これが生体のリズムを生み出すと考えられている. グループはそのタンパク質の一つKaiAの構造を大型放射光施設スプリング8(兵庫県三日月町)で調べ,3つの領域があるのを突き止めた.さらにそれぞれの領域が欠けたタンパク質を作り,その役割を分析した.その結果,一方の末端部の領域が欠けると,他の時計タンパク質の生成量などの周期変化がなくなった.また,中央の領域が欠損すると,生成量変化の周期が24時間からずれた. (5/30 京都新聞
    • 【生物科学】ヒトとチンパンジーの違い 塩基配列の差は1%でも遺伝子の83%に差
      知能などで大きな差があるヒトとチンパンジーだが,配列に約1%しか差がないことが大きな謎だった. 理化学研究所ゲノム科学総合研究センター(横浜市)などのグループがチンパンジーの染色体の塩基配列を精密に解読,ヒトとの間で遺伝子の約83%に違いがあることを突き止め,27日付の英科学誌Natureに発表した. 今回の研究は塩基の欠損や挿入が予想外に多く,それが遺伝子に大きな差を生み出すことを初めて明らかにした. 解読したのはチンパンジーの22番染色体で塩基数は計約3300万.対応するヒトの染色体と比べると,塩基の置き換えによる食い違いは1.44%だったが,塩基の欠損や挿入が約6万8000カ所もあった. 両者で比較できた遺伝子は計231個で,全く同じ遺伝子は39個にとどまった.全体の約83%に当たる192個の遺伝子で,それを基に合成されるタンパク質のアミノ酸配列に違いがあり,その約2割ではタンパク質の構造までも変わっていた. (5/27 京都新聞
    • 【顕彰】猿橋賞はKEKの小磯氏に
      日本女性科学者の会 が, 科学の分野で優れた業績を残した若手女性研究者に贈る「猿橋賞」の今年の受賞者に,高エネルギー加速器研究機構(KEK)の小磯晴代助教授(49)が選ばれた.小磯氏は,KEKの実験施設「Bファクトリー」の設計から建設,運転において,中心的な役割を担った.Bファクトリーは,電子と陽電子を猛スピードでぶつけ,物質の最小単位の素粒子の一種,B中間子と反B中間子を大量に作り出す施設.

  • 今週のサイエンティスト情報

  • 今週の「検定外教科書」

    • 小学生向け理科の検定外教科書を有志が販売へ
      文部科学省の検定教科書で削除されていた内容も盛り込んで, 2003年春,中学生向けの「新しい科学の教科書」を 出版した左巻健男・同志社女子大教授らの有志のグループは, 引き続いて小学生向けの新しい検定外教科書を執筆,6月から発行する. 今回出版される小学生向けの「新しい理科の教科書」(文一総合出版,1260円)は,約80人が執筆にかかわった.A5判,208ページで検定教科書の3倍以上の厚さになる. 夏には高校生向けのシリーズも発売する,という.(5/29 読売新聞
      私自身,中学生版の3冊を持っているのだが,執筆者の意気込みと熱意は感じられる.ただ,どうしても教科書としての枠に捕われている感じもしないでもない.(まあ,それが目的なのかもしれないが)...「副読本」として,図録を中心とした,「ミニ図鑑」的なものがあれば,もっと自然に現在の学校教育に受け取られるのではないだろうか.
      しかし,とりあえず,小学生の親としては気になる本である.現在まだ本屋に並んでいないので,以下では中学生用をリストした.
      • 新しい科学の教科書〈1〉現代人のための中学理科 《amazon.co.jp》 《bk1
      • 新しい科学の教科書〈2〉現代人のための中学理科 《amazon.co.jp》 《bk1
      • 新しい科学の教科書〈3〉現代人のための中学理科 《amazon.co.jp》 《bk1
      いずれも,左巻 健男, 検定外中学校理科教科書をつくる会が編集,文一総合出版,各1260円.なお,これらを分野別に2冊組にしたものもあって,各1890円で
      • 新しい科学の教科書 現代人のための中学理科 第1分野 分野別編集版 第1分野 化学・物理編 《bk1》 《amazon.co.jp
      • 新しい科学の教科書 現代人のための中学理科 第2分野 分野別編集版 第2分野 生物・地学編 《bk1》 《amazon.co.jp
      がある.
      (6月14日追記) 小学生用も出版されたようである.

      上記で,図録のようなものがあったら,と書いたが,小学生向けには,詳しすぎる位の 「教科書」がすでにあった.いずれも啓明舎監修, 後藤卓也編,誠文堂新光社,各1890円で,

      • 教養のための理科 小学理科か・ん・ぺ・き教科書 基礎編 《amazon.co.jp》 《bk1
      • 教養のための理科 小学理科か・ん・ぺ・き教科書 応用編1 生命と地球, 《amazon.co.jp》 《bk1
      • 教養のための理科 小学理科か・ん・ぺ・き教科書 応用編2 身のまわりの科学, 《amazon.co.jp》 《bk1
      なんと基礎編で,天気図の見方や電流計のつなぎ方が解説されている.

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2004/05/25
  • 今週のサイエンス情報

    • 【宇宙論】宇宙のトポロジーは,少なくとも24 Gpc以上のスケール
      Wilkinson Microwave Anisotropy Probe (WMAP)による宇宙背景輻射の観測から, 宇宙のトポロジースケールは,少なくとも一辺24 Gpc以上(750億光年)である,との 報告があった.同じ性質をもつ光が到達しているかどうかを調べた結果で,調べた 背景輻射にそのような痕跡がないことから下限値を与えた.15年前に, 「宇宙は128Mpcの周期構造か」と騒がれたことが遠い昔のことに思える. (Cornish, Spergel, Starkman, Komatsu, Physical Review Letters, upcoming article) 5/12 APS Physics News
    • 【天文現象】6月8日に,金星が太陽面通過
      6月8日の午後,金星が太陽を横切る太陽面(日面)通過(経過)現象が起こる.太陽の表面を金星が黒い点となって動いていく様子を全国で観察するこ とができる.6月8日の14時30分頃に金星が太陽面に入り, 17時14分に太陽の中心に最も近づく. この現象が日本で見られるのは,1874年(明治7年)以来,実に130 年ぶり, 世界的に1882年以来の122年ぶり.次回は,8年後の2012年6月6日,その 次が2117年12月10日. 5/17 国立天文台 アストロ・トピックス ,日経サイエンス2004年7月号にも記事あり.
    • 【惑星探査】小惑星探査機「はやぶさ」スイングバイに成功
       宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2003年5月9日に打ち上げた工学実験探査機「はやぶさ(MUSES-C)」は,この1年あまりの間,太陽を周回する軌道を順調に飛翔し,イオンエンジンを使用して加速してきたが,5月19日に再び地球に接近し,地球スウィングバイを行い,小惑星「ITOKAWA」へ向かう新たな楕円軌道に入った. 地球スウィングバイは,地球の重力を利用して,探査機に搭載する推進剤を使用することなく,軌道の方向や速度を大きく変更する技術.最接近時の高度は,約3700km だった.2005年夏に小惑星「ITOKAWA」に到着し,岩石を採取.2007年夏に地球へ帰還する.ITOKAWAは,日本のロケット開発の父である故糸川英夫にちなむ. 5/20 JAXA 発表
    • 【宇宙開発】環境観測衛星「みどりII」の事故原因
      2003年10月,電力が低下して運用停止した環境観測衛星「みどりII」について,宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,太陽電池パネルにつながる電力線の束に異常が起こったのが原因とみられるとする調査結果をまとめ,21日,宇宙開発委員会調査部会に報告した.太陽電池パネルの電力を衛星本体に伝える電力線104本の束を覆う断熱材が,電気を帯びて放電するなどして熱を持ったため束が破損,電力線がショートしたか切断した可能性が有力だという.「みどりII」は事故の直前に,太陽フレアの影響で発生したオーロラ帯を通過していて,断熱材は電気を帯びやすい状況だった. 5/22 京都新聞 JAXA 環境観測技術衛星「みどりII」.ちなみに H-IIAロケット6号機打ち上げ失敗について,原因究明作業の報告は ここ. まだ結論に至っていない.

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    • 文部科学省,教育課程部会における審議内容に関する意見を募集
      『中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会では,教育課程実施状況調査など全国的・総合的な学力調査の結果などを踏まえ,学習指導要領の不断の見直しを一層進めるため,教科別専門部会(国語,算数・数学,理科,外国語),教育課程企画特別部会を設置しました.今後のこれらの部会における審議に資するため,教育関係者のみならず,広く国民一般から,審議内容についての意見募集を実施します.』5月12日から6月11日まで . 文部科学省の科研費ホームページ
    • 科研費ハンドブックを発刊
      文部科学省と日本学術振興会は,研究者向けの科研費ハンドブックを発刊,関係機関に送付した.業者等に一括して仮払いをしておき,その都度物品の納入などを行って年度内に全体を精算する「仮払い包括契約」ができること.間接経費を,特許出願費用,弁理士費用,審査請求費用,広報費などにも使用できることを明示.科研費で購入した設備等や間接経費を転職した機関へ持っていけること.経費の支払いにクレジットカードを使用できること.等々を簡潔明瞭に説明している. 文部科学省の科研費ホームページ からダウンロードすることができる.( 5/14 科学新聞)
    • 早大,理工学部を3分割へ
      早稲田大学は2007年度に理工学部を三学部に分割する方針を固めた.13ある学科は16学科体制に再編,生命医科学科を新設して手薄だった医療分野に本格進出する.分割によるスリム化で学部運営を迅速化し,産学連携など激化する大学間競争に対応するのが狙い.一世紀近い歴史を持つ伝統学部の分割は異例. 関係者によると,3分割で誕生するのは,「先進理工学部」「基幹理工学部」「創造理工学部」の各学部(いずれも仮称). (5/20 日本経済新聞)

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2004/05/10
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    • 【惑星物理】太陽系外で最遠の惑星発見 地球から1万7000光年
       太陽系外で最も遠くにある惑星を発見したと,名古屋大の村木綏教授やニュージーランドのカンタベリー大などの研究チームが27日,明らかにした.銀河系中心部の,いて座にあり,地球から約1万7000光年離れている.これまでに見つかった太陽系外惑星より約100倍遠くにあり,質量は木星の約1.5倍.研究チームは,重い天体の周囲で空間がゆがみ,光が曲がる重力レンズ効果を利用する新手法で探査,星の光が増減する様子をとらえた.増減の様子が,重力レンズを起こしている重い天体のそばに惑星があることを示す特徴を持っていた. (4/27 朝日新聞
  • 今週のサイエンティスト情報

    • 5月6日に配信された大学情報 記事から,題目のみ.
      【注目記事】大学生の年間費用は202万円,生活費が8万円減少 (文部科学省・平成14年度学生生活調査結果)
      【大学改革】(1)国際教養大が開学−授業はすべて英語
      【大学改革】(2)筑波大が「学群」「学類」見直し
      【大学改革】(3)慶応大ビジネススクール,米名門校と包括提携
      【大学改革】(4)金沢大で「温泉学」開講
      【大学改革】(5)学校法人同志社が「AA+」の格付け取得
      【大学改革】(6)鳥取大,新入生と教職員が「朝食会」
      【大学改革】(7)九州大など「21世紀COE化学系ネットワーク」設立 (当サイト4/19 既報
      【大学改革】(8)鹿屋体育大,国立大学法人初の学長公募
      【トピック】(1)国立大が4月1日に法人化,法科大学院も開校 (当サイト4/5 既報
      【トピック】(2)センター試験,24大学が新たに利用
      【トピック】(3)法科大学院,13校が定員割れ
      【トピック】(4)政府,国立大への観光学部・学科の設置を促進
      【トピック】(5)2004年度のCOE補助金,東京大が38億円でトップ (文部科学省・平成16年度補助金交付決定)
      【トピック】(6)大学教育支援プログラムに534件の応募 (文部科学省・平成16年度「特色ある大学教育支援プログラム」の応募状況)
      【トピック】(7)青年海外協力隊の活動を大学単位に
      【トピック】(8)東京大の物理と東北大の材料科学,論文実績世界トップ (当サイト4/5 既報
      【トピック】(9)学内自主団体の解散権は大学に−最高裁
      【トピック】(10)大学図書館,地域開放の動き広がる
      【トピック】(11)兵庫県,教育機関を全面禁煙
      【トピック】(12)入学前納金返還求め25人が新たに提訴
      【海外大学事情】(1)米国・ハーバード大の合格者,初めて女性が男性上回る
      【海外大学事情】(2)中国・婚前同居に反対する学生が圧倒的多数
      【IT化】(1)日本女子大−遠隔授業の出欠,携帯で顔認証
    • 文部科学省 平成15年度大学図書館実態調査結果報告
      4月27日,文部科学省は「平成15年度大学図書館実態調査結果報告」を発表した. 発表記事には次のような「!」付きで,まとめが書かれている.
      • 8割の図書館が時間外開館を実施⇒ 開館時間も着実に延長!
      • 国立大学の約4割が図書館・室の24 時間開館を実施!
      • 一般市民等への公開は,ほぼ定着(98.2%が実施)
      • 電子ジャーナルの購読が急加速!(5年間で77.5 倍)
      4/27 文部科学省

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2004/05/02
  • 今週のサイエンス情報

    • 【宇宙物理】Gravity Probe B 打ち上げ成功
      一般相対性理論の正しさを検証する精密なジャイロスコープを搭載した人工衛星 Gravity Probe B が予定どおり打ち上げられた.NASAとStanford 大学が中心に 進めるプロジェクトで,経費は7億ドル.地上640Kmの軌道を97.5分ごとに 周回しながら16か月観測を続け,「時空のゆがみ」を重力の効果のみで 直接観測し,「慣性系のひきずり」効果も別に観測する. ( 4/21 朝日新聞, 4/20 PhysicsWeb, 4/4 読売新聞4/2 NASA press release, Stanford Univ.
    • 【原子核物理】三角形の原子核あった 理論的に証明
       原子核の形は球に近いと考えられていたが,平たい3角形もあり得ることを東京大学の大塚らが米物理学誌Phys. Rev. Lettersに発表した. アルファ粒子が3つ集まってできる炭素原子に余分な中性子2つを加えた炭素同位体を考えた場合,粒子が相互にどのような力を及ぼすかなどを計算.アルファ粒子が正3角形の頂点を占める構造になりうることが分かった. 超新星爆発で合成されたばかりの原子には多く存在するとみられる. (4/28 京都新聞4/28 毎日新聞 N. Itagaki,T. Otsuka, K. Ikeda, and S. Okabe , Phys. Rev. Lett. 92 , 142501 (2004)
    • 【物理】飛行機雲が地球温暖化を「加速」 NASA研究結果発表
      米航空宇宙局(NASA) Langley研究センターのチームは27日, 過去20年間の北米の気温上昇の主な原因は旅客機だった,という研究結果を 発表した. 75-94年の米国上空の天候や雲の観測データを分析した. ジェットエンジンの排気中の水蒸気が凍ると飛行機雲ができ,時間とともに上空に広がって巻雲(絹雲)となることがある. 巻雲は地表を温める太陽光を通す一方で,地表からの熱の放射は遮る「温室効果」があるという. 計算の結果,巻雲の増加による気温上昇は10年で0.2〜0.3度と推定された.問題の20年間に米国では平均気温が 約0.3度上昇しており,ほとんどが飛行機雲による巻雲の温室効果で説明できるという.「化石燃料の消費増に伴う二酸化炭素(CO2)の増加が温暖化の元凶」とみる環境保護団体などの反発も招きそうだ. (4/28 朝日新聞4/27 NASA
    • 【顕彰】www発明者にフィンランド政府の第1回ミレニアム技術賞
      フィンランドの技術賞基金( The Finnish Technology Award Foundation) は,WWWを発明したBerners-Lee 卿に第1回目のミレニアム技術賞(Millennium Technology Prize)を 贈ることを決めた.賞金100万Euroが贈られる. ミレニアム技術賞は,人々の生活の質に直接関わる傑出した技術革新に対する国際賞で, 人道的価値を基準に持続可能な経済発展を促進する技術が対象となる. Berners-Lee 卿は,もともとリアルタイム通信におけるシステムデザインとテキスト・プロセッシング・ソフトの開発に携わってきた.スイスのCERNに所属しているときにウェブを開発した.91年にWWWを一般公開し, 初のサーバーやブラウザを開発したばかりか,ウェブ利用に重要なURLアドレス,HTTP送信プロトコル, HTMLコードなども発明した. (4/23 科学新聞

  • 今週のサイエンティスト情報

    • 科研費,非常勤や技官も申請可能に
      文部科学省は科学研究費補助金(科研費)の応募資格を見直し,大正時代から続いてきた「常勤の研究者」という要件を約80年ぶりに撤廃することを決めた.現行では資格がない非常勤職員や名誉教授も,研究活動をしていれば,科研費を申請できるようになる.早ければ今秋始まる来年度分から適用する. 新しい資格は,文科省が指定する研究機関(大学,高専,研究所など約1600カ所)で研究をしていると機関が認めることが要件.肩書や勤務形態,有給・無給の別は問わない.これにより,非常勤講師や客員教授,名誉教授,無給の博士研究員,技官などの職員にも門戸が開かれる. (5/1 毎日新聞
    • Elsevierが研究論文サーチエンジンScopusを立ち上げ
      Elsevier社は,まもなく,研究論文サーチエンジンScopus(http://www.scopus.com )を立ち上げる,と発表した.(Nature 428, 683 (15 April 2004)) また,米国物理学会や英国物理学会も共同でいくつかの出版社とともにサーチエンジンを 2004年中に立ち上げる予定( http://www.crossref.org/crossrefsearch.html)らしい. 従来のhttp://www.isinet.com とは異なるレベルでの論文検索が可能になることを期待したい.
    • 物理屋の有名度は仲間内だけ
      物性物理学分野のプレプリントサーバに最近投稿された報告 (J P Bagrow et al.  cond-mat/0404515)によれば,「物理屋の有名度」はスポーツマンや俳優の有名度とは異なる尺度である,という.彼等は,「有名度(fame)」をGoogleサーチエンジンでのヒット順で定義,また,研究論文の出版数を「利点(merit)」と定義し,両者の相関を調べた.調査したのは,プレプリントサーバcond-matに投稿している449名の物理学者で,論文の出版数は1991年以降のもの.結果は単純な「比例」であり,スポーツマン等の「指数関数的」相関は見られなかった.科学者の名声は,単純に仲間内でのみ成立していることが明らかにされた.ちなみに論文のタイトルは,"How famous is a scientist? - Famous to those who know us." (4/27 PhysicsWeb

  • 今週の「研究評価」

    最近出版された本,

    アメリカNIHの生命科学戦略
    掛札 堅 (著) 講談社ブルーバックス 価格: ¥987 (税込) 《amazon.co.jp》 《bk1
    では,アメリカの国立衛生研究所(National Institutes of Health, NIH)の仕組みと,分子生物学や癌研究の紹介がされている.
     NIHは,アメリカの国立航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration, NASA)や国立科学財団(National Science Foundation, NSF)とならぶ独立機関である.アメリカの生物・医療系の研究者のグラントは,ほとんどがNIHのグラントに占める程,重要度が高い.
     上記の本p150には,NIHグラントの審査過程についての記述があり,なかなか面白い.NIHのページにも(例えば,ここ)記述を裏付ける文章があるので,一部抜粋しながら書き出して みる. ので一部抜粋したい.
    『会合では,科学的価値,独創性,研究法,経験,能力,経済性,科学研究環境,研究機関の支援などが問われ,1.0から5.0点までの採点が行われる.1.0点が最も良い.
    1.0-1.51.5-2.02.0-2.52.5-3.03.0-3.53.5-4.04.0-5.0
    傑出素晴らしい良い満足妥当性あり了解容認可能
    OutstandingExcellentVery GoodGoodAcceptable
    の7段階で,絶対的価値評価ではなく,比較価値の認定で,最も優れた研究プランが採択される.』
    英語版だと,評価基準は次のように書かれている.
    1. Significance: Does this study address an important problem? If the aims of the application are achieved, how will scientific knowledge be advanced? What will be the effect of these studies on the concepts or methods that drive this field?
    2. Approach: Are the conceptual framework, design, methods, and analyses adequately developed, well-integrated, and appropriate to the aims of the project? Does the applicant acknowledge potential problem areas and consider alternative tactics?
    3. Innovation: Does the project employ novel concepts, approaches or method? Are the aims original and innovative? Does the project challenge existing paradigms or develop new methodologies or technologies?
    4. Investigator: Is the investigator appropriately trained and well suited to carry out this work? Is the work proposed appropriate to the experience level of the principal investigator and other researchers (if any)?
    5. Environment: Does the scientific environment in which the work will be done contribute to the probability of success? Do the proposed experiments take advantage of unique features of the scientific environment or employ useful collaborative arrangements? Is there evidence of institutional support?

    『グラント申請書には注意書きとして「申請を拒絶される理由を頻度順に並べる」と前置きがある.

    1. 新しい創造的なアイデアがない.
    2. ぼんやりと,表面的で,焦点が定まっていない研究プラン
    3. すでに発表されている関連事項に関する知識不足
    4. 鍵となる研究手段に対する経験不足
    5. 将来どっちの方向に進むか確信がない
    6. 疑わしい論拠にもとづく研究
    7. 納得のゆく科学的根拠の欠如
    8. できそうもない巨大な実験量
    9. 詳細な実験計画の欠如
    10. 慎重さに欠ける取り組み
    創造性がもっとも重視されるアメリカならではの決めつけた表現として興味深い』
    私も興味深い.

  • 今週の「EU拡大」

    欧州連合(Europa Union) が,5月1日,10カ国の加盟国を増やし,25カ国体制となった.加盟国の変遷は, 外務省のページ にもあるが,まとめると次のようになる.
    原加盟国 第1次拡大
    1973年
    第2次拡大
    1981年
    第3次拡大
    1986年
    第4次拡大
    1995年
    第5次拡大
    2004年
    ベルギー
    ドイツ
    フランス
    イタリア
    ルクセンブルク
    オランダ
    デンマーク
    アイルランド
    英国
    ギリシャ スペイン
    ポルトガル
    フィンランド
    オーストリア
    スウェーデン
    ポーランド
    ハンガリー
    チェコ
    スロベニア
    スロバキア
    エストニア
    ラトビア
    リトアニア
    キプロス
    マルタ
    6カ国 9カ国 10カ国12カ国15カ国25カ国
    スイスやノルウェーなど加盟していない国もあるが, 旧東西の壁を超えて大きな共同経済圏へ発展していく姿は好ましいものに思える. 15年程前にハンガリー人の友達を訪ねて, ブタペストに1泊2日で立ち寄ったことがあるが,彼が「ハンガリーの地下鉄には 今は広告なんてほとんどないけど,10年経ったらきっと変わっている」 と自信をもって語ってくれたことを思い出す. あれから再訪する機会がないが,きっと豊かになりつつあることだろう.
     Physics Web によれば,研究開発(R&D)の資金面でも,EUは2010年までに現状のGDP比2%を3%に増額することを目標にしているようだ. フランスと英国ではR&D資金が減額しており,新しく加盟した10カ国の GDPも今後急速に上昇することが予想されるので,3%という目標達成は厳しいものがあるらしいが, 米国 (2.8%) や日本 (3%)並のレベルに追い付くことが強い動機となっている. 予算の多くが 工業部門に割り当てられており,基礎科学へどのような配分を行うかも課題だという.



2004年4月以前の分はここ


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